山﨑達枝 災害看護と私 Disaster Nursing

日本災害看護学会でワークショップ開催,

はじめに

2017年8月25日(金)・26日(土)、日本災害看護学会第19回年次大会(大会長:鳥取看護大学 近田敬子氏)が鳥取県立倉吉未来中心にて開催されました。

山﨑絆塾では、「安全で安心して行ける避難所のトイレ」と題してワークショップを開催しました。

初日の午後、プログラムは教育講演・シンポジウム・一般演題・交流集会・ポスター発表と横並びで、どれも重要で参加したくなるようなタイトルでした。

何とか50名でも来て下さると嬉しいと、資料は50名様分を用意しまして、当日参加された神奈川県看護協会災害支援ナースの皆様のご協力を頂き総合受付付近でチラシ配りするなどいたしました。

実際に開演近い時間になると、会場にはたくさんの方々が来てくださり感激しました。

座長席から、数えてみますとその数はなんと延べ人数120名近い方々に来ていただくことができました。

どのような時でも、どうしても避けることのできないトイレですので、関心の高さを改めて知ることができました。

会場で資料をお渡しできませんでした皆様に、この場にてお詫びいたします。

来場してくださいました皆様有難うございました。

参加者の声

2名の方から感想文が届きましたのでご紹介します。

「安全で安心して行える避難所のトイレ」に参加して

食べる・排泄・睡眠は、人間が生きていく上での生理的欲求である。

災害時の報道を見ると、食べ物や布団の支給はよく目にするがトイレについてはほとんど報道されないため、今回のワークショップ「安全で安心して行ける避難所のトイレ」というテーマに関心を持ち参加した。

東日本大震災被災地の避難所のトイレ状況についての報告を聞き、砂を掘りナイロン袋を利用したトイレや流れてきた便器を拾ってトイレを作ったという写真を見て、被災者の発想やアイデアに感銘を受けた。

家族や地域の人々が協力し合い、安心してトイレが出来るように工夫されていた。

トイレはプライベートな場所でもあり、どうあるべきか考えさせられた。

また、子供がトイレを言わなくなり我慢するようになるからオムツをする、と言う発表を聞き、排泄が自律していた子供にオムツ?成長を妨げるのではないか、と疑問に思ったが、災害に遇った子供は恐怖心がトラウマとなり、少なからず後退する、という回答をもらい学びとなった。

次に、災害時には水が出ないため、排泄物の処理が滞り細菌による感染症の問題が生じてくる。

まず、職員が徹底して手洗い等の感染管理を行い、感染予防のための清潔を保つ工夫をしなければならない。そして清潔で衛生的なトイレを造り、2次的な健康障害を回避していく必要がある。

熊本地震における学校対応の報告では、地域に愛される学校を目指し、災害時には「ピンチをチャンスに!」という前向きな考えより、課題を明確にし運営を行った報告は感心させられると同時に学びが多かった。

災害時のマネジメントはとても難しいが重要であり、日常から災害時に備え地域と連携を図っておく必要がある。

ワークショップに参加し、災害時の排泄の現状と大切さを学ぶことができた。排泄は食べることと同様に、安全かつ安心して行わなければならない、という事を再認識した。

災害時だけではなく看護を行ううえでも、患者さんが安全で安心して食事・排泄が行えるように、配慮していきたい。 

石川県立中央病院 摂食・嚥下障害看護認定看護師
垣内美香

安全で安心した避難所のトイレのワークショップに参加して

あたり前にあるトイレは、綺麗で紙があり、流すことができる。勿論、水道水で手を洗う事もできる。

人は1日平均約200gの排便、約1Lの排尿があり、災害時でも生理的現象にトイレは欠かせない。

東日本大震災被災地でのトイレ事情、感染看護管理者の立場からのトイレ管理、熊本地震で臨時避難所となった施設での運営と対策について、なくてはならないトイレについて学ぶことができた。

災害時にトイレはどうなっていくか…

排水管や給水管の破損を考えトイレの使用を禁止しなくてはならない。しかし混乱の中でも、排泄は待ったなし、長蛇の列ができる。

トイレの形式によっては高齢者や子供・障がい者にとっては特に苦痛である。

又汚染や悪臭の為、排泄を我慢する事、水分摂取を控える事で健康状態に悪影響を及ぼす。

私達が災害時にどう工夫し何を行うべきかを学んだ。その中で感染管理を徹底する事が大切である。

災害時「トイレの管理者」を設置する事で、健康や衛生面・排泄物の処理・感染者の隔離・解除方法など管理ができる。

また手指衛生の必要性を何度も避難者に伝達する事が重要である。

熊本県立かがやきの森支援学校では、施設開設時には反対していた近隣住民が震災時に集まり、臨時避難所として受け入れを行った。

施設利用者と一般避難者との利用区域を分け、施設利用者の精神的・環境の変化でのストレスを最小限とした。

その中で、一般避難者と施設利用者に食事は勿論、トイレも綺麗に保つよう毎日掃除を行い清潔なトイレを提供した。

見えない所での大変な努力を知ることができ、避難所の手本となる対応であると感じ、感動に胸が熱くなった。

安全で安心した避難所のトイレは、皆が気持ちよく排泄できる空間・トイレから出てきた時ホッとする笑顔の為、感染管理を私達看護師が行う重要な事であり、今後災害現場での活動に活かせる多くを学ぶ事ができた。

長島良江

写真報告

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東日本大震災被災地避難所のトイレ事情について発表してくださいました大月真由美氏
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感染管理看護者の立場から「清潔で衛生的なトイレとは」発表してくださいました妹尾正子氏
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トイレを中心に建設された重症心身障がい者施設の紹介してくださいました熊本県かがやきの森支援学校 冨永佐世子氏
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座長 山﨑絆塾代表 山﨑達枝
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