はじめに

2019年12月15日(日)、福祉プラザさくら川にて第16回絆塾を開催しました。

参加者は76名、医療従事者・会社員・出版社・退職後フリー等あらゆる方々に参加いただけました。

参加者の声

参加された方からの感想文やレポートをご紹介します。

“最後の一人まで”行う支援

はじめに米倉氏から相双地区(福島県の東部、太平洋の沿岸部)における震災後の精神医療の現状や、こころのケアチームがどのように展開されたのか説明のあと、外部支援者が減少するなかで長期にわたる支援が必要なこと、支援が必要な人への対応の難しさ、地域に隠れていること、そのためアウトリーチ(直接訪問して支援を行う)が有用であることなど、現在も支援を進められている様子の説明が動画を用いながらありました。

お話を伺うなかで、震災後のこころのケアはあらゆる人に必要なこと、また、こころの問題は長期化することや、時間が経過してから表面化する問題や、支援者が不足することなど知ることが出来ました。

お話のなかでは触れられませんでしたが、支援する人たちも被災されたり、ご家族が被害に合われたりする場合もあったと思います。ケアを必要とする人へ手を差し伸べていくには支援者自身のこころのケアも重要と感じました。

柳田氏へ講演が始まる前にご挨拶をする機会がありました。11月に鳥取県でワークショップを開かれていたことから、私の出身が鳥取県であることなどをお話しすると、「地震後の様子は現在はどうですか?」と、2016年10月に発生した鳥取中部地震を気にかけてくださり、時間がたち次々と災害が起こっている状況でも、忘れずにいてくださることに感銘を受けました。

その後の講演では、阪神・淡路大震災の際の亡くなられた黒田裕子さんとの出会いから災害支援活動の実践知について、“最後の一人まで”支援を続けることを考えさせられました。

米倉氏の講演でも、障害や疾患を持つ人が避難所等で最後の一人となりやすいとあり、自分も支援を行うときはその“最後の一人まで”続けるのだと思いを新たに致しました。

できれば起こらないでほしい大規模災害ですが、もし起こったときには親や子を亡くす、住む場所がなくなるなど大きな喪失が生じます。

講演を伺いながら被害者が出ない、住むところを失わないための防災・減災はどうしたらよいのか、まず対策に力を尽くし、その上で被害があったときの災害看護・支援の在り方を考える機会となりました。

貴重な講演を聴くことが出来ました。今回の学びを生かしていきたいと思います。講師の先生方、あわせて山崎塾長、絆塾事務局の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。

渡邊 和信

第16回山崎絆塾に参加して

東日本大震災津波以降続く山崎塾長との縁から、今回の絆塾に参加させていただいた。

今回の絆塾では、第1部で、福島県の相馬広域こころのケアセンターなごみの米倉一磨センター長から、「被災地のこころのケア~地域にねざした支援をめざして~」と題し、被災後の被災地における様々な心のケアが必要な方々への取り組みやその苦労等を話していただいた。

被災前からなんらかの精神的な疾患を持っていた方々に加え、被災後の生活状況等から精神的に問題を抱えるようになった方々の状況とそれにどのように対応すべきか。また、被災後の混乱状況もあわせ、対応する側の苦労や対応そのものの苦労など、実際の経験からの非常に貴重な話をしていただいた。

特にも、被災後の生活によって精神的に問題を抱えるようになる被災者の存在は、これまでも言われてきていたし、その原因もさまざまであることイメージとしてはあったが、その対応も含めより現場感をもつことができた。

また、第2部の柳田邦男先生の講義は、「災害多発時代と高まる専門的職業人の役割~被災者の再生を支えるもの~(資料では「~私が学んできたこと~」)」と題し、柳田先生の取材の視点が、その災害が何故起こったのかというような視点(例えば都市構造の問題等)から被災者への視点に変化してきたこと。そして、日本における災害看護の先駆けである故黒田裕子さんの活動や高木慶子シスターのグリーフケアの活動、「あいまいな喪失」という新たな問題、被災者に対する寄り添い方としての「2.5人称の視点」の話など、予定の時間を大きく超過しての講演をいただいた。

長年の取材から話される内容は幅広くまた奥深いものがあり、被災者に寄り添うという言葉の意味を考える上でも、大変有意義なものであった。

柳田先生の演題にもあるように、災害現場は、専門的職業人の活動によって支えられている部分が大きい。しかし、災害現場(被災地)で起きていることは、必ずしも自分たちが日常で経験していることだけでは理解できないことも多い。その意味で、この山崎絆塾は、そのような災害(被災)の現場を知ったり対応力を身につけるうえで、すばらしい機会であると思う。

また、講演の終了後に設定された懇親会も、参加された方々の様々な経験などを聞くことができた。今回参加する機会を得たことに深く感謝するとともに、看護職ならず多くの防災に携わる方々の受講を期待する次第である。

小山 雄士

写真報告

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米倉 一磨氏:被災地のこころのケア ~地域にねざした支援をめざして~ ご講演
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柳田 邦男氏:災害多発時代と高まる専門的職業人の役割 ~被災者の再生をささえるもの~ ご講演
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机を準備できなかったことで受講者の皆様には申し訳なかったと思います。
柳田先生からの大切なメッセージ、その言葉一つ一つを記録するには不都合でした。
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約2時間のご講演に姿勢を崩さずお話される姿に感動いたしました。
Copyright© Tatsue YAMAZAKI